「特定技能」で重要になる登録支援機関について解説!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

「特定技能」ビザを取得することになる、1号特定技能外国人を雇用する場合、「特定技能所属機関」又は「登録支援機関」は、「1号特定技能外国人支援計画」を作成し、この支援計画に基づいて、実施することが必要になります。

そこで、今回は支援計画作成のために重要な機関となる「登録支援機関」について考えていきたいと思います。

今回の記事が皆様の参考になれば幸いです。

「特定技能」ビザ全般については、以下の記事で詳しく解説をしています。↓
外国人の「特定技能」の在留資格について徹底解説します!

特定技能所属機関と登録支援機関について

特定技能所属機関と登録支援機関について

特定技能所属機関は、簡単にまとめると「特定技能」ビザを取得した外国人を雇用する雇用主(受入れ機関)です。

以下に、法務省から発表されている受入れ機関・登録支援機関のイメージ図を掲載しておきます。↓

受入れ機関・登録支援機関の役割等

また、「特定技能」ビザにおける「特定技能所属機関」と「登録支援機関」を含む大まかな流れは以下の通りです。↓

<参照:法務省 新たな外国人材の受入れに関する 在留資格「特定技能」の創設についてから>

特定技能所属機関とは?

上述した通り、「特定技能所属機関」とは、「特定技能」ビザを取得した外国人を雇用する雇用主(受入れ機関)です。

つまり、雇用されることとなる外国人と直接的に契約を結ぶ会社等が該当することになります。

「特定技能所属機関」には、

・出入国管理関係法令・労働関係法令・社会保険関係法令 等を遵守すること

・外国人の報酬額が日本人と同等額以上であること

・「1号特定技能外国人」の就労が合わせて5年を迎えること等による雇用に関する契約の終了時には、確実な帰国のための措置を行うこと

・欠格事由に該当しないこと

・支援計画に基づき、適正な支援を行える能力・体制があること

などの責務が課されます。

「特定技能所属機関」については、以下の記事も参考にしてください。↓
特定技能で受入れ先になる特定技能所属機関の基準について

登録支援機関とは?

登録支援機関とは、上記の「特定技能所属機関(受入れ機関)に変わって、支援計画の登録や実施を行う機関です。

つまり、「特定技能所属機関」の代わりに、外国人支援に関する支援計画の実施や、支援計画作成のアドバイスなどを行なってくれるということです。

登録支援機関になるためには、一定の登録要件を満たし、出入国在留管理庁が登録した機関であることが必要になります。

また、法務省から「登録支援機関」向けのリーフレットも発表されていますので、以下に掲載しておきます。↓
リーフレット(登録支援機関向け)

1号特定技能外国人支援の主な内容

1号特定技能外国人支援の主な内容

「特定技能所属機関」は、職業生活上、日常生活上又は社会生活上の支援などを行い、1号特定技能外国人が「特定技能」の在留資格に基づく活動を安定的かつ円滑に行うことができるようにするために実施する義務があります。

そのために、上記の「支援計画の作成」などを行い、実施することが求められます。

「支援計画」の主な内容は、

1、外国人に対する入国前の生活ガイダンスの提供

2、入国時の空港等への出迎え及び帰国時の空港等への見送り

3、保証人となることその他の外国人の住宅の確保に向けた支援の実施

4、外国人に対する在留中の生活オリエンテーションの実施

5、生活のための日本語習得の支援

6、外国人からの相談・苦情への対応

7、外国人が履行しなければならない各種行政手続についての情報提供及び支 援

8、外国人と日本人との交流の促進に係る支援

9、外国人が、その責めに帰すべき事由によらないで特定技能雇用契約を解除 される場合において、他の本邦の公私の機関との特定技能雇用契約に基づい て「特定技能1号」の在留資格に基づく活動を行うことができるようにする ための支援

10、転職する際の、職業相談・職業紹介

11、行政手続き等における情報の提供

などが「支援計画」に必要となる主な内容です。

「1号特定技能外国人」を受け入れるために求められる「支援計画」の詳細については、以下の記事で解説をしています。↓
在留資格「1号特定技能外国人」の支援計画の内容とは

登録支援機関は出入国在留管理庁からの登録が必要に

登録支援機関は出入国在留管理庁からの登録が必要に

2019年4月に施行されることになる、「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律第十九条の二十三」では、委託を受けて「支援業務」を行う場合は、登録支援機関の登録を出入国在留管理庁から受けることができると規定されています。

また、登録支援機関の登録をした場合、5年ごとに更新をしなければ、その効力も失われるとされています。

以下、「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律第十九条の二十三」に規定されている条文です。

出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律第十九条の二十三

(登録支援機関の登録)

契約により委託を受けて適合一号特定技能外国人支援計画の全部の実施の業務(以下 「支援業務」という。)を行う者は、出入国在留管理庁長官の登録を受けることができる。

2 前項の登録は、五年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によつて、その効力を失う。

3 第一項の登録(前項の登録の更新を含む。以下この款において同じ。)を受けようとする者は、実費 を勘案して政令で定める額の手数料を納付しなければならない

と規定されています。

出入国在留管理庁については、以下の記事を参考にしてください。↓
出入国在留管理庁について

登録支援機関に登録する方法は?

登録支援機関に登録する方法は?

登録支援機関に登録するためには、「出入国在留管理庁」に対して必要な事項記載した申請書を提出しなければなりません。

必要な事項に関しては、

「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律第十九条の二十四」に規定されています。

以下、「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律第十九条の二十四」の条文です。

出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律第十九条の二十四

(登録の申請)

第十九条の二十四前条第一項の登録を受けようとする者は、法務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を出入国在留管理庁長官に提出しなければならない。

一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名

二 支援業務を行う事務所の所在地

三 支援業務の内容及びその実施方法その他支援業務に関し法務省令で定める事項

2 前項の申請書には、前条第一項の登録を受けようとする者が第十九条の二十六第一項各号のいずれにも該当しないことを誓約する書面その他の法務省令で定める書類を添付しなければならない。

と規定されていますので、上記事項を記載した申請書を提出することになります。

第十九条の二十四第三項の「法務省令で定める事項」とは

ここで言われている、「法務省令で定める事項」とは、

1、支援業務を開始する年月日

2、特定技能外国人から相談に応じる体制

などの事項があります。

欠格事項に該当していないことを誓約する書面の提出

登録支援機関として、登録を受けるためには、上述した「第十九条の二十六第一項各号のいずれにも該当しないことを誓約する書面」を提出する必要があります。

つまり、「欠格事項に該当していない」ということを誓約しなければならないということです。

「欠格事項」には、以下のものがあげられています。

欠格事項について

・禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して 五年を経過しない者

・「出入国管理及び難民認定法」若しくは「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する 法律」の規定その他「出入国若しくは労働に関する法律の規定」(第四号に規定する規定を除く。)であつて政令で定めるもの又はこれらの規定に基づく命令の規定により、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して五年を経過しない者

・「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」(平成三年法律第七十七号)の規定(同法第五十 条(第二号に係る部分に限る。)及び第五十二条の規定を除く。)により、又は「刑法第二百四条、第 二百六条、第二百八条、第二百八条の二、第二百二十二条若しくは第二百四十七条の罪」若しくは「暴力行為等処罰に関する法律の罪」を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して五年を経過しない者

・「健康保険法第二百八条、第二百十三条の二若しくは第二百十四条第一 項」、「船員保険法)第百五十六条、第百五十九条若しくは第百六十条第一 項」、「労働者災害補償保険法第五十一条前段若しくは第五十四条第一項」(同法第五十一条前段の規定に係る部分に限る。)、「厚生年金保険法」(第百二条、第百三条の二若しくは第百四条第一項(同法第百二条又は第百三条の二の規定に係る部 分に限る。)、「労働保険の保険料の徴収等に関する法律」第四十六条 前段若しくは第四十八条第一項(同法第四十六条前段の規定に係る部分に限る。)又は「雇用保険法」第八十三条若しくは第八十六条(同法第八十三条の規定に係る部分に 限る。)の規定により、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつ た日から起算して五年を経過しない者

・心身の故障により支援業務を適正に行うことができない者として法務省令で定めるもの

・破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者

・登録支援機関の登録を取り消されてから五年を経過していない者

・登録申請の日五年以内に、入国又は労働に関する法令に関し不正又 は著しく不当な行為をした者

・暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過していない者

・暴力団員等がその事業活動を支配する者

・支援業務を的確に遂行するための必要な体制が整備されていない者として法務省令で定めるもの

上記のような欠格事項に該当する場合は、「登録支援機関」の登録ができなくなります。

その他登録支援機関の登録に必要な書類は?

その他登録支援機関の登録に必要な書類は?

上述した申請書以外に必要とされている書類には、

・申請者が法人の場合は、「法人の登記事項証明書」及び「定款」又は「寄付行為」、役員の「住民票」の写し

・申請者が法人でない場合は、申請者の「住民票の写し」、「納税申告書の写し」

・申請者の概要書

・支援委託契約書又はこれに代わる書類の写し

・欠格事由に該当しないことを誓約する書面

・支援業務を行う実施責任者の履歴書、就任承諾書及び支援業務に係る誓約書の写し

・支援業務担当者の履歴書、就任承諾書及び支援業務に係る誓約書の写し

・その他必要な書類

などが必要になります。

以下、法務省から説明されている、登録支援機関の登録申請時に提出が必要とされている書類一覧です。↓

主な提出書類一覧(登録支援機関の登録申請時)

<参照:法務省入国管理局 新たな外国人材の受入れについて>

登録支援機関の登録に必要になる申請書は?

登録支援機関の登録に必要になる申請書は?

登録支援機関の登録に必要となる「登録申請書」及び「登録の更新申請書」については、法務省から発表されていますので、以下にその申請書のサンプルを掲載しておきます。

登録支援機関登録申請書・登録支援機関登録の更新申請書【PDF】 

上記の申請書を作成して添付書類と一緒に提出することになります。

登録支援機関の登録に必要な手数料は?

登録支援機関の登録に必要な手数料は?

「登録支援機関」として登録の申請をする際に、申請手数料が必要になります。

この、申請手数料は28,400円となっており、収入印紙を購入して手数料納付書に添付して支払うことになります。

手数料納付書のPDFデータも法務省から発表されていますので、以下に掲載をしておきます。↓

手数料納付書 別記第83号の2様式 【PDF】

登録支援機関として登録の可否がわかるまでの審査期間は?

登録支援機関として登録の可否がわかるまでの審査期間は?

登録支援機関の登録申請に係る審査はおおむね2か月を要するとされています。

そのため、「登録支援機関」として支援業務を行うことを検討している場合は、支援業務を開始する予定日のおおむね2か月前までに申請を行う必要があります。

登録支援機関の登録に必要な要件は?

登録支援機関の登録に必要な要件は?

「登録支援機関」に登録するためには、「外国人支援計画」を作成して、適正に実施できることが求められます。

そこで、登録支援機関として必要とされる条件には、以下のものがあります。

①支援責任者及び支援担当者を選任

「登録支援機関」として、「外国人支援計画」を適正に実施するためには、以下の(1)(2)(3)のいずれかに該当する「支援責任者」及び「支援担当者」を配置する必要があります。

(1)外国人の受入れ又は、管理を適正に行なった実績がある者

・過去2年間に「技術・人文知識・国際業務」のなどの「中長期就労系ビザ」で日本に滞在する外国人の受入れ又は、管理を適正に行なった実績があること。

・役員又は職員の中から、一号特定技能外国人支援計画の実施に関する「責任者」選任していること。

・上記経験者の中から、外国人に特定技能雇用契約に基づく活動をさせる事業所ごとに1名以上の一号特定技能外国人支援計画に基づく「支援を担当する者」を選任していること。

(2)生活相談等に従事した経験を有する者

・役員又は職員であって過去2年間技術・人文知識・国際業務」のなどの「中長期就労系ビザ」で日本に滞在する外国人の生活相談等に従事した経験を有するものの中から、「支援責任者」を選任していること。

・上記経験者の中から、外国人に特定技能雇用契約に基づく活動をさせる事業所ごとに1名以上の「支援担当者」を選任していること。

(3)支援業務を適正に実施することができる者

・前記(1)又は(2)の基準に適合する者のほか、これらの者と同程度に支援業務を適正に実施することができる者として認められた者であること。

などの(1)(2)(3)のいずれかの基準を満たす必要があります。

また、過去2年間の実績も必要になりますので、注意が必要です。

②外国人に対する支援の体制

「特定技能雇用契約」の当事者である外国人に係る「一号特定技能外国人支援計画」に基づく職業生活上,日常生活上又は社会生活上の支援を、当該外国人が十分に理解することができる言語によって行うことができる体制を整備していることが求められます。

③支援状況の文書を作成・保存

「一号特定技能外国人支援の状況に係る文書」を作成し、当該一号特定技能外国人支援を行う事業所に「特定技能雇用契約」の終了の日から1年以上備えて置くことが必要になります。

④支援責任者及び支援担当者

「支援責任者」及び「支援担当者」が、外国人を監督する立場にない者その他の一号特定技能外国人支援計画の中立な実施を行うことができる立場の者であり、かつ、欠格事項に該当しない者であること。

⑤過去に支援計画を怠っていないこと

「特定技能雇用契約」の締結の日前5年以内又はその締結の日以後に、「法第19条の22第1項」の規定に反して一号特定技能外国人支援計画に基づいた一号特定技能外国人支援を怠ったことがないことが必要です。

⑥面談を実施すること

「特定技能雇用契約」の当事者である外国人及びその監督をする立場にある者と「定期的な面談」を実施することができる体制を有していることが求められます。

⑦その他の事項

前記①から⑥までに定めるもののほか,法務大臣が告示で定める「特定の分野に係るもの」にあっては、当該分野を所管する関係行政機関の長が、法務大臣と協議の上、当該分野に特有の事情に鑑みて告示で定める基準に適合することが必要になります。

上記の条件などが「登録支援機関」には求められますので、しっかりと基準を満たしていくことが大切です。

また、「登録支援機関」には登録後に「届出」が必要になりますので、以下に「登録支援機関」に必要になる届出について解説した記事も参考にしてください。↓
特定技能ビザで登録支援機関が必要になる届出について

まとめ

特定技能の登録支援機関についてのまとめ

今回は、「登録支援機関」について考えてきました。

「特定技能」ビザで外国人を雇用する場合は、多くのケースで「登録支援機関」の協力が必要になってきます。

登録支援機関に協力を求める雇用主も、登録支援機関に登録を検討している方も、しっかりと法律を理解して、外国人を雇用していくことが求められます。

今回の記事が皆様の参考になれば幸いです。

「特定技能」ビザについて解説した記事一覧は、以下の記事にまとめています。↓
特定技能の在留資格について解説した記事一覧(まとめ)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。