特定技能の在留資格に変更する場合の特例措置について

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「特定技能」の在留資格が2019年4月から新設されるにあたって、2019年3月1日以降から「特定技能」ビザに変更予定の外国人に対して、「特定活動」の在留資格を付与する特例措置が行われます。

今回は、この「特例措置」について考えていきます。

皆様の参考になれば幸いです。

「特定技能」ビザ全般については、以下の記事で解説をしていますので、参考にしてください。↓
外国人の「特定技能」の在留資格について徹底解説します!

特定技能ビザ変更予定の外国人に特例措置が行われる理由

特定技能ビザ変更予定の外国人に特例措置が行われる理由

2019年4月に改正入管法が施行されるにあたり、「特定技能所属機関(受入れ機関)」に変わって、支援計画の登録や実施を行うことができる機関として、登録支援機関の登録申請を行うことができるようになります。

しかし、実際2019年4月1日に登録支援機関の登録申請をして、その日に登録許可が降りるかと言われるとそうではありません。

登録支援機関の登録申請をしてから、審査が行われて、登録決定がされますので、登録申請の数にもよりますが、通常数週間は審査の時間が必要になります。

つまり、改正入管法が施行される2019年4月1日時点では、登録支援機関は存在しないことになります。

そのため、4月1日からしばらくは「特定技能」ビザで外国人の受け入れを考えている企業等(受け入れ機関)で、登録支援機関に支援計画等を委託しようと考えている企業側は、「特定技能」ビザで外国人を受け入れることができません。

そこで、在留資格「特定技能」の新設に伴い、当面の間、「特定技能1号」に変更予定の一定の外国人の方に「特定活動」(就労可)の在留資格を付与するという、特例措置が行われます。

「登録支援機関」「特定技能所属機関(受入れ機関)」については、以下の記事を参考にしてください。↓
「特定技能」で重要になる登録支援機関について解説!

特定技能で受入れ先になる特定技能所属機関の基準について

特例措置の趣旨について

特例措置の趣旨について

今回の「特定技能1号」に変更予定の外国人に「特定活動」の在留資格を付与するという特例措置の趣旨は以下の通りです。

「2019年4月1日に改正入管法が施行されるところ、「技能実習2号」修了者(「特定活動」で在留中の建設就労者又は造船就労者を含む。)は、「特定技能1号」の技能試験・日本語能力試験の合格を免除されるため、登録支援機関の登録手続等の「特定技能1号」への変更準備に必要な期間の在留資格を措置するもの」

であると、法務省で発表されています。

特例措置の対象となる外国人は?

特例措置の対象となる外国人は?

今回の特例措置の対象となる外国人は、

「技能実習2号」で在留した経歴を有し、現に「技能実習2号」、「技能実習3号」、「特定活動」(外国人建設就労者又は造船就労者として活動している者)のいずれかにより在留中の外国人のうち、2019年9月末までに在留期間が満了する外国人が対象になります。

許可される在留資格や期間は?

今回の特例措置で付与される在留資格は「特定活動(就労可)」です。

また、付与された「特定活動」ビザの在留期間は、4ヶ月とされており、原則更新はできません。

特定活動ビザが許可される要件は?

特定活動ビザが許可される要件は?

今回の特例措置によって「特定活動」の在留資格が付与される要件は、以下のとおりです。

1、従前と同じ事業者で就労するために「特定技能1号」へ変更予定であること

2、従前と同じ事業者で従前の在留資格で従事した業務と同種の業務に従事する雇用契約が締結されていること

3、従前の在留資格で在留中の報酬と同等額以上の報酬を受けること

4、登録支援機関となる予定の機関の登録が未了であるなど、「特定技能1号」への移行に時間を要することに理由があること

5、「技能実習2号」で1年10か月以上在留し、かつ、修得した技能の職種・作業が「特定技能1号」で従事する特定産業分野の業務区分の技能試験・日本語能力試験の合格免除に対応するものであること

6、受入れ機関が、労働、社会保険及び租税に関する法令を遵守していること

7、受入れ機関が、特定技能所属機関に係る一定の欠格事由(前科,暴力団関係,不正行為等)に該当しないこと

8、受入れ機関又は支援委託予定先が、外国人が十分理解できる言語で支援を実施できること

上記要件を全て満たしている必要があります。

申請手続きはどうすればいい?

申請手続きはどうすればいい?

今回の特例措置で「特定活動」の在留資格を取得するためには、2019年3月1日以降に地方入国管理局において申請を行う必要があります。

必要書類について

特例措置によって「特定活動」ビザを取得するために必要となる書類は以下のとおりです。

1、在留資格変更許可申請書(ひな形PDFデータ

2、受入れ機関の誓約書(ひな形PDFデータ

3、「特定技能1号」へ変更するまでの雇用契約に関する書面(雇用契約書、雇用条件書等の写し)

4、申請人に係る従前の賃金台帳の写し(過去1年分)

5、受入れ機関が作成した理由書(「特定技能1号」への在留資格変更許可申請までに時間を要する理由(登録支援機関となる予定の機関の登録が未了であるなど)、同申請が可能な時期の見通し、「特定技能1号」での活動予定内容等を記載したもの)(任意様式)

6、「技能実習2号」で修得した技能が「特定技能1号」で従事する特定産業分野の業務区分の技能試験及び日本語能力試験の合格免除に対応することを明らかにする資料(技能実習計画書の写し、技能検定3級又はこれに相当する技能実習評価試験の実技試験の合格証)

などが必要になります。

もちろん、通常の在留資格申請と同様に必要があれば、上記書類以外にも適宜追加資料を求められることがあります。

その他注意すべきことは?

その他注意すべきことは?

今回の特例措置を利用する際に注意しておきたいことを以下に記載していきます。

1、今回の特例措置による申請に対する処分は、2019年4月1日以降にされること。

2、今回の特例措置によって、「特定活動」(就労可)」で在留した期間は、「特定技能1号」での通算の在留期間の上限である5年の中に算入されること。

3、「特定技能1号」への在留資格変更許可申請の準備が整い次第速やかに同申請を行う必要があること。

4、2019年3月末日までに在留期間が満了する外国人で、一旦就労活動を行わない状態で在留を継続しながら、従前と同じ受入れ機関との契約に基づく特例措置を利用して「特定活動」(就労可)又は「特定技能1号」への在留資格変更許可申請の準備を行うことを希望する方は、「申請人からの誓約書」、「受入れ機関からの誓約書」を添えて、「特定活動」(就労不可)への在留資格変更許可申請を行うことができること。

5、今回の特例措置による「特定活動」(就労可)又は「特定活動」(就労不可)の申請中(審査中)に従前の「技能実習2号」等の在留期限が到来した場合、審査結果が出るまでの間(在留期限から2か月以内)は、在留を継続することはできるが、その期間中に就労することはできないこと。

などの事項に注意をする必要があります。

まとめ

「特定技能」の在留資格にまつわる「特例措置」についてのまとめ

今回は「特定技能」の在留資格にまつわる「特例措置」について考えてきました。

「特定技能」ビザが新設され、試行錯誤の中、受け入れる企業などは対応をしていくことになります。

そのため、しっかりと「特定技能」ビザの動向もチェックしておくことが求められます。

今回の記事が皆様の参考になれば幸いです。

特定技能」ビザについて解説した記事一覧は、以下の記事にまとめています。↓
特定技能の在留資格について解説した記事一覧(まとめ)

 

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