再入国許可とは?みなし再入国許可と合わせて徹底解説!

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在留資格を取得して日本に滞在している外国人が、出張など何らかの理由があって、日本から出国する場合は、事前に「再入国の許可」や「みなし再入国」の手続きを行う必要があります。

この「再入国の許可」「みなし再入国」の手続きを行なった上で日本を出国すれば、日本に容易に再度入国することが可能になります。

今回は、この「再入国の許可」「みなし再入国」について書いていきます。

皆様の参考になれば幸いです。

外国人留学生のアルバイトについては以下の記事を参考にしてください。↓
資格外活動って何?留学生をアルバイトで雇用するときの注意点

再入国の許可とは?

再入国の許可とは?

再入国の許可の根拠は、出入国管理及び難民認定法第二十六条にその根拠が規定されています。

以下、条文を載せておきます。

出入国管理及び難民認定法第二十六条

法務大臣は、本邦に在留する外国人(仮上陸の許可を受けている者及び第十四条から第十八条までに規定する上陸の許可を受けている者を除く。)がその在留期間(在留期間の定めのない者にあつては、本邦に在留し得る期間)の満了の日以前に本邦に再び入国する意図をもつて出国しようとするときは、法務省令で定める手続により、その者の申請に基づき、再入国の許可を与えることができる。この場合において、法務大臣は、その者の申請に基づき、相当と認めるときは、当該許可を数次再入国の許可とすることができる。

再入国の許可を受けると日本に再度入国することが容易になる

外国人が再入国の許可を受けることによって、再び日本に入国する時に改めて日本に上陸するための査証(ビザ)を取得することなく、再入国した後も出国前と同じ在留資格で日本に滞在することができるようになります。

平成24年7月9日より以前は、この「再入国の許可」しかありませんでしたが、7月9日から新しい在留管理制度が実施されることになり、その際に「みなし再入国許可」の制度が導入されることになりました。

みなし再入国許可とは?

みなし再入国許可とは?

みなし再入国の許可とは、上述した通り、平成24年7月9日から新しく導入された制度です。

みなし再入国許可の根拠となる法律は、以下に載せています。

出入国管理及び難民認定法第二十六条の二

本邦に在留資格をもつて在留する外国人(第十九条の三第一号及び第二号に掲げる者を除く。)で有効な旅券(第六十一条の二の十二第一項に規定する難民旅行証明書を除く。)を所持するもの(中長期在留者にあつては、在留カードを所持するものに限る。)が、法務省令で定めるところにより、入国審査官に対し、再び入国する意図を表明して出国するときは、前条第一項の規定にかかわらず、同項の再入国の許可を受けたものとみなす。ただし、出入国の公正な管理のため再入国の許可を要する者として法務省令で定めるものに該当する者については、この限りでない。

短期滞在の場合はみなし再入国の制度は使えない

短期滞在で日本に来ている外国人や、3ヶ月以下の在留資格の決定をされている外国人については、みなし再入国の許可は利用できませんので、注意が必要です。

再入国許可とみなし再入国許可の違いは何?

再入国許可とみなし再入国許可の違いは何?

実務上でも良くある質問の一つに「再入国許可」と「みなし再入国許可」の違いは?という質問があります。

そこで、以下に「再入国許可」と「みなし再入国許可」についての詳細を書いていきます。

再入国許可の特徴

再入国許可の特徴

再入国許可の特徴は以下の通りです。

①再入国するまでの有効期限は5年

再入国許可の有効期限は5年超えない範囲(特別永住者は6年)となっているので、その期間を超えてしまうと、効力がなくなりますので注意が必要です。

根拠となる条文は出入国管理及び難民認定法第二十六条1項3に規定されています。

出入国管理及び難民認定法第二十六条1項3

法務大臣は、再入国の許可を与える場合には、当該許可が効力を生ずるものとされた日から五年を超えない範囲内においてその有効期間を定めるものとする。

②相当な理由があれば再入国許可の有効期間の延長を申請できる

再入国許可の有効期間が終わるまでに、日本に再入国ができない相当な理由がある場合は、その国にある日本の在外公館(大使館や領事館)に出頭することで、再入国許可の有効期間の延長を受けることができます。

ただし、相当の理由がある時ですので、必ず認められるということではありません。

根拠となる条文は出入国管理及び難民認定法第二十六条1項5に規定されています。↓

出入国管理及び難民認定法第二十六条一項5

法務大臣は、再入国の許可を受けて出国した者について、当該許可の有効期間内に再入国することができない相当の理由があると認めるときは、その者の申請に基づき、一年を超えず、かつ、当該許可が効力を生じた日から六年を超えない範囲内で、当該許可の有効期間の延長の許可をすることができる。

③再入国の許可には2種類ある

再入国の許可は、「一回限り有効な許可」と「数次有効な許可」の2種類があります。

数次有効な再入国の許可を受けた場合は、その再入国の許可の期間内であれば、何度でも使用することができます。

④手続きは入国管理局

再入国許可の手続きは、住所地を管轄する地方入国管理官署で申請をする必要があります。

みなし再入国許可の特徴

みなし再入国許可の特徴

みなし再入国の特徴は以下の通りです。

①1年以内に帰国しなければならない

みなし再入国の許可を受けて、日本を出国した場合は、「再入国の許可」とは違い、日本に1年以内に再入国する必要があります。(特別永住者は2年以内)

②有効期間の延長はできない

再入国許可では、相当な理由があればその国の在外公館に出頭することで、有効期間の延長が可能でしたが、「みなし再入国の許可」では、その有効期間を海外で延長することはできません。

③出国する場所(空港など)で手続きを行う

再入国許可は、住所地を管轄する入国管理局で手続きをする必要がありましたが、みなし再入国許可の場合は、出国する空港などで、「再入国出国用EDカード」をもらい必要事項を記入して、審査官に渡せば手続きが終了です。

再入国許可とみなし再入国許可で注意しなければならないこと

再入国許可とみなし再入国許可で注意しなければならないこと

「再入国許可」と「みなし再入国許可」については、上述したような違いや特徴がありました。

外国人が日本を出国するために再入国許可又はみなし再入国許可の制度を利用する際に注意しなければならないことを以下に書いていきます。

在留期限に注意すること

再入国許可は外国人が有する在留期間を超えて許可されることはありません。

みなし再入国許可の場合は、在留期限が出国後1年未満の場合は、その在留期限までに再入国しなければなりませんので、自身の在留カードに記載されている在留期限については忘れずにチェックしておかなければなりません。

外国人の在留カードについては以下の記事も参考にしてください。↓
外国人の在留カードについてわかりやすく解説します!

再入国許可の申請方法は?

再入国許可の申請方法は?

再入国許可については、住所地を管轄する地方入国管理官署で申請しなければなりません。

以下に再入国許可の申請について書いていきます。

再入国許可の申請に必要な書類

①再入国許可申請書(再入国許可申請書のひな形)

②在留カード(在留カードとみなされる外国人登録証明書を含みます。以下同じ。)又は特別永住者証明書(特別永住者証明書とみなされる外国人登録証明書を含みます。)を提示

③旅券を提示

④旅券を提示することができないときは,その理由を記載した理由書

⑤身分を証する文書等の提示(申請取次者が申請を提出する場合)

上記書類が必要になります。

再入国許可を申請できる人は?

①申請人本人(日本での滞在を希望している外国人本人)

②地方入国管理局長から申請取次の承認を受けている次の者で,申請人から依頼を受けたもの
・申請人が経営している機関又は雇用されている機関の職員
・申請人が研修又は教育を受けている機関の職員
・外国人が行う技能,技術又は知識を修得する活動の監理を行う団体
・外国人の円滑な受入れを図ることを目的とする公益法人の職員
・旅行業者

③地方入国管理局長に届け出た弁護士又は行政書士で,申請人から依頼を受けたもの

④申請人本人の法定代理人

⑤申請人本人が16歳未満の場合又は疾病(注)その他の事由により自ら出頭することができない場合には,その親族又は同居者若しくはこれに準ずる者で地方入国管理局長が適当と認めるもの

上記の者が再入国許可の申請をすることができます。

みなし再入国許可の申請方法は?

みなし再入国許可の申請方法は?

「みなし再入国許可」は、「再入国許可」とは異なり、出国する空港などで、「再入国出国用EDカード」をもらい必要事項を記入して、審査官に提出することになります。

以下に法務省のホームページで掲載されているEDカードのサンプルを掲載しておきます。↓

再入国出国用EDカード

上記赤丸のところに「みなし再入国による出国を希望します。」と書かれていますので、チェックをつけて提出することになります。

法務省のホームページにも掲載されていますので、参考にしてください。↓
法務省 入国管理局ホームページ

みなし再入国許可の対象にならない人もいる

みなし再入国許可の対象にならない人もいる

みなし再入国許可は以下の者は、対象とはなりませんので、注意が必要です。

①在留資格取消手続き中の者

②出国確認の留保対象者

③収容令書の発付を受けている者

④難民認定申請中の「特定活動」の在留資格をもって在留する者

⑤日本の収益又は公安を害するおそれがあること、その他出入国の公正な管理のため再入国の許可を要すると認めるに足りる相当の理由があるとして法務大臣が認定する者

上記①〜⑤に該当する者は、再入国許可の対象になりません。

まとめ

再入国許可とみなし再入国許可のまとめ

今回は、再入国許可とみなし再入国許可について書いてきました。

出張や帰省などで、外国人が日本を出国する機会も多くあります。

その際に1年以内に帰ってくることが確実な場合は「みなし再入国許可」を利用して、日本を出国すれば手続きも簡単で日本に再度入国することができます。

「再入国許可」と「みなし再入国許可」とは様々な点で異なるところがありますので、間違えないようにしなければなりません。

今回の記事が皆様の参考になれば幸いです。

外国人の在留資格については以下の記事も参考にしてください。↓
外国人の在留資格についてわかりやすく解説します!

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