クールジャパン産業(アニメ・漫画等)の在留資格について

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日本は現在、クールジャパン産業(アニメ・漫画・ゲーム・日本料理等)に力を入れて、国をあげて推し進めていこうと考えています。

そのため、外国人の在留資格についても「クールジャパン」におけるビザをどうしていくべきか?といったことが話題に上がることが多くあります。

そこで、今回は「クールジャパン産業」における外国人の在留資格について考えていきたいと思います。

今回の記事が皆様の参考になれば幸いで。

在留資格全般については、以下の記事で詳しく解説をしています。↓
外国人の在留資格制度とは?わかりやすく徹底解説します!

技術・人文知識・国際業務の在留資格が必要

技術・人文知識・国際業務の在留資格が必要

日本の魅力を世界へ発信するクールジャパン戦略が推進され,日本のコンテ ンツ等に対する外国からの関心が高まっていることを受け、「アニメ」、「ファッション」、「デザイン」、「食」などを学びに来た留学生が、日本で就職したいと考えた場合、在留資格を変更して、「就労ビザ」を取得する必要があります。

そのため、外国人が日本の大学又は専門学校においてアニメ又はファッション・デザ インに関連する科目を履修して卒業し、これらの知識を用いて 日本の企業に就職を希望する場合は、原則として「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得することが求められます。

技術・人文知識・国際業務の在留資格については、以下の記事で詳しく解説をしています。↓
徹底解説!「技術・人文知識・国際業務」の7つのポイント

クールジャパン産業の就職で認められた事例

クールジャパン産業の就職で認められた事例

「技術・人文知識・国際業務」ビザで、就職が認められたクールジャパン産業の主な事例を以下に掲載しておきます。

アニメーション分野

・日本の専門学校においてマンガ・アニメーション科を卒業し、専門士 の称号を付与された外国人が、コンピュータ関連サービスを業務とする 会社においてキャラクターデザイン等のゲーム開発業務に従事するもの。

・日本の専門学校においてマンガ・アニメーション科を卒業し、専門士 の称号を付与された外国人が、アニメ制作会社において、絵コンテ等の 構成や原画の作成といった主体的な創作活動に従事するもの。

・日本の専門学校においてマンガ・アニメーション科を卒業し、専門士 の称号を付与された外国人が、アニメ制作会社において、入社当初の6月程度背景の色付け等の指導を受けながら行いつつ、その後は絵コンテ等の構成や原画の作成といった主体的な創作活動に従事するもの。

ファッション・デザイン分野

・日本の専門学校においてデザイン科を卒業し、専門士の称号を付与された外国人が、デザイン事務所においてデザイナーとして創作業務に従事するもの。

・大学の工学部を卒業した外国人が、自動車メーカーにおいてカーデザイナーとして自動車デザインに係る業務に従事するもの。

・日本の専門学校においてデザイン科を卒業し、専門士の称号を付与さ れた外国人が、服飾業を営む会社においてファッションコーディネーターとして商品の企画販促や商品ディスプレイの考案等に従事するもの。

美容分野

・日本の専門学校において美容に関する専門課程を卒業し、専門士の称 号を付与された外国人が、海外展開を予定する化粧品会社における海外 進出準備のための企画・マネジメント業務に従事するもの。

・日本の専門学校において美容に関する専門課程を卒業し、専門士の称号を付与された外国人が、ヘアーウィッグやヘアーエクステンション等の商品開発及び営業販売の業務に従事するもの。

食分野

・日本の専門学校において栄養管理学等に係る課程を卒業し、専門士の称号を取得した外国人が、食品会社の研究開発業務に従事するもの。

・日本の専門学校において経営学に係る学科を卒業し、専門士の称号 を付与された外国人が、飲食店チェーンの海外展開業務を行う人材として採用された後、本社における2か月の座学を中心とした研修及び国内の実店舗での3か月の販売・接客に係る実地研修を行い、その後本社で 海外展開業務に従事するもの。

・フランス国籍を有する者がドイツにおいてイタリア料理の調理師として10年間活動した後、我が国においてイタリア料理の調理に係る業 務に従事するもの。

などが許可事例として法務省から発表されています。

クールジャパン産業の就職で認めらなかった事例

クールジャパン産業の就職で認めらなかった事例

また、「技術・人文知識・国際業務」ビザで、就職が認められなかったクールジャパン産業の主な事例を以下に掲載しておきます。

アニメーション分野

・日本の専門学校においてマンガ・アニメーション科を卒業し、専門士の称号を付与された外国人が、アニメ制作会社において,、主体的な創作活動を伴わない背景画の色付け作業等の補助業務にのみ従事するもの。

ファッション・デザイン分野

・日本の専門学校においてデザイン科を卒業し、専門士の称号を付与された外国人が、服飾業を営む会社において、主体的な創作活動を伴わない裁断・縫製等の制作過程に従事するもの。

・日本の専門学校においてデザイン科を卒業し、専門士の称号を付与さ れた外国人が、服飾業を営む会社の店舗において専ら接客・販売業務に従事するもの。

美容分野

・日本の専門学校において美容学科を卒業し、専門士の称号を付与され た外国人が、美容師やネイリストとして業務に従事するもの。

食分野

・日本の専門学校において経営学に係る学科を卒業し、専門士の称号を付与された外国人が、飲食店チェーンにおいて3年間の滞在予定で海外展開業務を行うとして申請があったが、実際には、入社後2年間は実地研修の名目で店舗での調理・接客業務に従事させる計画であったことが審査の過程で明らかになったもの。

などが不許可事例として法務省から発表されています。

詳細は以下の法務省から発表されている資料で掲載されています。↓

<参照;法務省「クールジャパン」に関わる分野において就労しようとする留学生等に係る在留資格の明確化等について>

特定活動の在留資格でもクールジャパン産業に就職できる?

特定活動の在留資格でもクールジャパン産業に就職できる?

上記の「許可・不許可事例」からわかるように、通常の就労ビザの場合、「単純労働」は認められていません。

そのため、「技術・人文知識・国際業務」を取得する場合は、学術上の素養を背景とする一定水準以上の専門的技術又は知識を必要とする活動であって、 単に経験を積んだことにより有している技術・知識では足りず、学問的・体系的な技術・知識を要するものである必要があります。

したがって、外国人が母国で日本のアニメを見て「日本でアニメーター」になりたいと思っても、該当する在留資格がないため、日本でアニメータとして働くことを実現することはとても難しいのが現状です。

そこで、法務省は「特定活動」の在留資格に「クールジャパン枠」を含めることを検討しています。

現時点では、検討中なので「特定活動」ビザでクールジャパン産業に就職することはできませんが、今後「クールジャパン枠」が含まれることになると、在留期間は最長5年になるという予定になっています。

特定活動については、以下の記事で解説をしています。↓
特定活動の在留資格を解説!オリンピックの準備も対象に?
卒業後も就職活動!留学生の「特定活動」ビザを徹底解説!

まとめ

「クールジャパン産業」における在留資格についてのまとめ

今回は、「クールジャパン産業」における在留資格について考えてきました。

日本は国をあげて「クールジャパン」産業を推し進めていこうとしています。

また、2019年4月からは「特定技能」という在留資格が新設され、さらに外国人の受け入れを拡大していこうという動きになっています。

「クールジャパン産業」における在留資格ももちろんですが、「特定技能」などの新しい在留資格に関する動向なども注意を持って見ていくことが必要です。

特定技能ビザについては、以下の記事で詳しく解説をしています。↓

外国人の「特定技能」の在留資格について徹底解説します!

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