外国人の短期滞在ビザについて徹底解説します!

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観光や親族訪問等で外国人が日本に来るためには、「短期滞在」の在留資格が必要になります。

近年は、日本に来る外国人観光客も増加しているので、今回はこの「短期滞在」ビザについて解説をしていきたいと思います。

皆様の参考になれば幸いです。

在留資格全般については、以下の記事を参考にしてください。↓
外国人の在留資格制度とは?わかりやすく徹底解説します!

短期滞在ビザとは?

短期滞在ビザとは?

そもそも、「短期滞在」とは、「日本に短期間滞在して行う観光、保養、スポ―ツ、親族の訪問、見学、講習又は会合への参加、業務連絡その他これらに類似する短期商用で、短期(90日以内)の滞在をする活動」であるとされています。

短期滞在の活動目的

<参照:在留資格一覧表より>

短期滞在で日本に来る外国人の数は?

短期滞在で日本に来る外国人の数は?

法務省の発表によると、2017年のデータでは、「短期滞在」ビザで日本に来た外国人の数は、約2,460万人であると公表されています。

観光立国を目指している日本では、今後も外国人観光客の増加が見込まれますので、「短期滞在」ビザで日本に来る外国人の数も増加していくものと考えられます。

在留資格別外国人新規入国者数の推移

<参照:法務省 外国人入国者数及び日本人出国者数等について

報酬を受ける活動は禁止

「短期滞在」ビザで日本に来る場合は、「収入を伴う事業を運営する活動」及び「報酬を受ける活動」は禁止されています。

つまり、「短期滞在」ビザを取得して日本に来た外国人は、働くことが原則禁止されています。

そのため、外国人による「労務提供が日本国内」で行われたことによって、その対価として外国人が金銭などの対価を日本国内から支給された場合は、「報酬を受ける活動」に該当するので注意が必要です。

短期滞在ビザの活動内容は?

短期滞在ビザの活動内容は?

上述した通り、「短期滞在」ビザの活動内容は、「日本に短期間滞在して行う観光、保養、スポ―ツ、親族の訪問、見学、講習又は会合への参加、業務連絡その他これらに類似する活動」を行うことです。

具体的には以下の活動が考えられます。

短期滞在ビザの具体的な活動

1、観光、娯楽、参詣、通過の目的での滞在

2、保養、病気治療の目的で滞在

※入院して治療を受ける外国人患者又はその同行者は、滞在期間が90日以内の場合は「短期滞在」、90日を超える場合は「特定活動」が決定されることになります。

3、競技会、コンテスト等へのアマチュアとしての参加

4、友人・知人・親族等の訪問、親善訪問、冠婚葬祭等への出席

5、見学、視察等の目的での滞在

6、教育機関、企業の行う講習、説明会等の参加

7、報酬を受けないで行う講義、講演等

8、会議その他会合への参加

9、日本に出張して行う業務連絡、商談、契約調印、アフターサービス、宣伝、市場調査、その他いわゆる短期商用

10、日本を訪れる国公賓、スポーツ選手等に同行して行う取材活動等、本国での取材活動に付随した一時的用務としての報道、取材活動

11、日本の大学等を受験、外国法事務弁護士となるための承認を受ける等の手続き

12、報酬を受けずに外国の大学生等が学業等の一環として日本の公私の機関に受け入れられて実習を行う90日以内の活動(インターンシップ)

13、その他日本において収入を伴う事業を運営し又は報酬を得る活動をすることのない短期間の滞在

などが、具体的な「短期滞在」ビザでの活動になります。

短期滞在ビザの在留期間は?

短期滞在ビザの在留期間は?

「短期滞在」ビザを取得した場合の在留期間は、出入国管理及び難民認定法施行規則第3条(別表第二)によって、90日、30日又は15日のいずれかの期間と規定されています。

そのため、1度の滞在期間に関わらず、1年の半分以上を日本で滞在するような場合は、長期滞在者と見なされる可能性があるため、原則的に「短期滞在」の在留資格の該当性が認められない可能性がありますので注意が必要です。

以下、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第二です。

出入国管理及び難民認定法施行規則 別表第二

九十日若しくは三十日又は十五日以内の日を単位とする期間。

<参照:出入国管理及び難民認定法 施行規則

入国査証(ビザ)免除の国も存在する

入国査証(ビザ)免除の国も存在する

2017年7月時点で、68の国・地域に対してビザ免除措置を実施されています。

そのため、ビザ免除措置が実施されている諸国・地域人は、商用、会議、観光、親族・知人訪問等を目的とする場合には、入国に際してビザを取得する必要はありません。

ただし、日本で報酬を受ける活動に従事する場合、又はそれぞれ国毎に決められた短期滞在の期間を超えて滞在する場合にはビザを取得する必要がありますので注意が必要です。

以下、外務省から発表されているビザ免除国・地域(短期滞在)です。

アジア

アジアにおけるビザ免除国・地域(短期滞在)です。

アジアにおけるビザ免除国・地域(短期滞在)

北米

北米におけるビザ免除国・地域(短期滞在)です。

北米におけるビザ免除国・地域(短期滞在)

中南米

中南米におけるビザ免除国・地域(短期滞在)です。

中南米におけるビザ免除国・地域(短期滞在)

大洋州

大洋州におけるビザ免除国・地域(短期滞在)です。

大洋州におけるビザ免除国・地域(短期滞在)

中東

中東におけるビザ免除国・地域(短期滞在)です。

中東におけるビザ免除国・地域(短期滞在)

アフリカ

アフリカにおけるビザ免除国・地域(短期滞在)です。

アフリカにおけるビザ免除国・地域(短期滞在)

欧州

欧州におけるビザ免除国・地域(短期滞在)です。

欧州におけるビザ免除国・地域(短期滞在)

欧州におけるビザ免除国・地域(短期滞在)

欧州におけるビザ免除国・地域(短期滞在)

<参照:外務省 ビザ免除国・地域(短期滞在)

また、「タイの場合におけるビザ免除の対象は,ICAO標準のIC旅券を所持する方に限る」ことや、

「マレーシアのビザ免除の対象は、ICAO標準のIC旅券を所持する方に限ること」などの注意事項もありますので、上記の「外務省 ビザ免除国・地域(短期滞在)」を参考にしてください。

短期滞在ビザの申請手続きの方法は?

短期滞在ビザの申請手続きの方法は?

上述したビザ免除国・地域以外の外国人が日本に「短期滞在」の目的で滞在するためには、その外国人の本国にある日本領事館又は大使館の領事部などで査証(ビザ)を申請し、取得する必要があります。

つまり、「短期滞在」ビザの申請については、日本国内での在留資格認定証明書の交付申請をすることができません。

「出入国管理及び難民認定法第7条の2第1項かっこ書き」にその根拠となる条文が規定されています。

出入国管理及び難民認定法第7条の2第1項かっこ書き

法務大臣は、法務省令で定めるところにより、本邦に上陸しようとする外国人(本邦において別表第一の三の表の短期滞在の項の下欄に掲げる活動を行おうとする者を除く。)から、あらかじめ申請があつたときは、当該外国人が前条第一項第二号に掲げる条件に適合している旨の証明書を交付することができる。

<参照:出入国管理及び難民認定法

そして、「短期滞在」ビザは、一般的には「パスポート」や「旅行に必要な経費と往復の航空券」等があれば、簡単に発給されます。

しかし、一部の国については、その他に在日身元保証人の身元保証書等、必要に応じた書類の提出が求められますので、注意が必要です。

例えば、中国籍の方が、日本に「親族・知人訪問」をする目的で「短期滞在」ビザを取得するケースなどは、別途以下の書類等を提出する必要があります。

・招聘理由書

・滞在予定表

・身元保証書

・身元保証人に関する資料(住民票や在留カードの写しなど)

など、必要に応じて提出する書類がありますので、注意が必要です。

短期滞在ビザの滞在期間は更新できるの?

短期滞在ビザの滞在期間は更新できるの?

「技術・人文知識・国際業務」などの中長期在留者に与えられる、在留資格は在留期間を更新することができますが、「短期滞在」ビザの場合、原則在留期間の更新をすることができません。

「短期滞在」ビザで在留期間を延長するためには、「相当な理由」が必要になります。

この「相当な理由」とは、「人道上の真にやむを得ない事情またはこれに相当する特別な事情」が必要であると考えられています。

例えば、

病気にかかってしまったり、不慮の事故で滞在期間の満了までに退院ができない場合、など不可抗力によってどうすることもできない場合などは、延長してもらえる可能性があります。

ただし、「短期滞在」ビザは、そもそも90日を超える滞在を想定されていません。

そして、入国管理局の方針でも、年間180日以上の滞在を原則認めないように留意する。とされているので、実際は「相当な理由」で短期滞在の滞在期間を延長するための難易度はかなり高いと考えることができます。

また、在留期間更新許可申請は31日以上の在留期間を持っていなければ申請できません。

そのため、実務上は90日の在留期間の「短期滞在」ビザを持っていなければビザの更新はできないので注意が必要です。

まとめ

外国人の「短期滞在」ビザについてのまとめ

今回は、外国人の「短期滞在」ビザについて考えてきました。

今後も日本には外国人観光客等が多く、来日することが見込まれます。

そのため、「短期滞在」ビザが必要になる機会も多く出てくると思いますので、正しい知識を持った上で、日本に来ることが大切です。

今回の記事が皆様の参考になれば幸いです。

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